やねうらストーリー

東京で働く人の、頭の屋根裏にあるこぼれ話

大学4年生だけど就職したくない

 突然ですが、就職したくない!!!

 

「したくない」だとかなりわがままな感じだけど、より正確に言えば、「なぜ就職しなければいけないのか」が分からないから、と言うのが本音です。

 

「就職する」という言葉だけなら分かる。けれど、現在の日本社会で「就職する」という言葉には、「大学を卒業する前から企業を探し、企業のしている事業と自分の価値観を擦り合わせ、念入りな準備を何ヶ月もして、採用プロセスを経て企業の一員となる」というところまでが含まれた概念になっているようです。

 

そもそも、なぜ大学を卒業したら仕事につかなければいけないのか。多くの場合、就職はレールの上の次のストップの1つになっているような気がします。高校を卒業したら大学に入る。大学に入ったらサークルに入る。大学を卒業したら就職する。レールが敷かれているのがダメだとは思いません。レールがあれば、多くの人の人生が上手に統制され、社会も安定するように思います。でも、そもそもそのレールが想像上のものならば、レールの上を走るのも、レールを外れるのも自由なんじゃないか。なぜレールの上で走り続けなければいけないのか。と、大学に進学する時点で少しだけレールを外れた私は思うのです。

 

また、就職サイトのあちこちで見受ける、「世界を変える」「社会をよくする」という言葉。社会をよくする…私にはどうもふわふわしていて、よく分かりません。

 

そもそも、社会のためにという考え方が、非常に現代に限られた考え方ではないかと思います。留学してみて、ある文化で絶対とされている価値観が他の国では存在すらしない、という事実を目の当たりにしました。「常識」「こうあるべき」みたいな考え方は非常にうさんくさいです。歴史の授業をとってみて痛感したけれど、国や文化だけでなく、時代にとっての常識も、100年程さかのぼってみれば簡単に崩れ落ちます。例をあげてみれば、奴隷制度は長らく当然のように存在していました。アリストテレスは奴隷制度を当然のこと、と書きましたが、今では公でそんなこと言うのはありえません。同じように、例えば中世ヨーロッパの騎士とかが「社会のために働く」なんて言っていたとは、どうしたって思えません。それならば何のために働くのか。なぜ働くのに「社会のために」という大義名分が必要なのか。なぜ働く=企業の一員になる、なのか。時代が変われば人の考え方が変わるのは当たり前です。常識が国によって違うのも、当然のことだと思います。でも、私はそれに縛られたくない。

 

私は、社会よりも自分のことを優先したい。どうせ死ぬんだから。なにやったって、どんなに批判されたって、どうせあと60年くらいしたら死にます。心から信じられるプリンシプルのような何かがほしくて、ゆるがない真実はなんなのか、そもそもそんなものはあるのか、をずっと考えてきました。まだ答えはないけれど、前よりは考えがクリアになってきた、と思います。1つ分かるのは、社会の常識のようなもろいものをプリンシプルにはしたくないということ。突き詰めて考えた時に自分が信じられるものを最優先して人生を生きたい。

 

当然、こういう私の考え方も時代に規定されているのだろうとは思います。1990年代の日本で生まれたからこそ、大学時代に留学ができた。多少は自由がきくような風潮の中でこれまで過ごしてきたからこそ、私は自分を優先したい、なんて考えが思い浮かぶような22歳になったんだろうと思います。周囲に影響された部分も多分にあるので、これも時代の風潮なのかもしれません。それでも。時代を越えて受け継がれてきた本を読み、人間とは何かを問い、変わらない真実はなんなのか、を考えることでここまでたどりついたからには、同じように考えた人が、きっと、何百年も昔にもいたんじゃないだろうか。少しは、普遍的ななにかに近づいているんじゃなかろうか。というか、私が当然だと思う事が他の国や時代では当然じゃないのでは??って、ちょっと考えればすぐ分かることのような気がします。

 

仕事がしたくないわけではなくて、むしろ、仕事はしたいです。職業につきたいとは思います。願わくば、何かのプロになりたい。留学する時の目標は、自分の二本足で立って、自分の頭で考えられる人になることでした。大学を卒業したら、これに、自分の力でお金を稼ぐ、を付け加えたいと思います。胸をはって、私はこういうことができます、と言えるようなスキルを身につけたい。そして、すこしでも何かの価値を生み出せるような人になりたい。できれば、何百年も昔からすでにあったような、人間にとって根本的な部分で変わらないような職業を選びたいと思っています。

 

そのためには、まだ学ぶべき事が山積みで、まだ仕事をしたいという気にはなれません。考え方も弱いし、知らないことが多すぎる。卒業したら、とりあえずは適当な仕事を見つけて、生活できる程度のお金を稼ぎながら、自分のために時間を使いたいです。ゆくゆくは自由が欲しいです。しばらくの間はきついかもしれませんが(しばらくじゃなくてずっとの可能性もあり)自分で決めた事なら本望だと思います。

 

というわけで、就職したくない!!!けっこう暴論になった部分もあったかと思いますが、卒業がせまる今、こんなことを考えています。私個人の経験にもとづいて考えているので、だいぶ視野も狭いと思います。結局は現実に負けちゃうかもしれないし。でもだからこそまだ学ぶことがたくさんある…と思っています。