やねうらストーリー

東京で働く人の、頭の屋根裏にあるこぼれ話

小津安二郎の「お早う」を観た  

今学期は「東京メトロポリス­−文学と映画を通して–」という授業をとっていて、その一貫で観ました。面白かった! 

舞台は1950年代後半の東京郊外、小さな団地の人間模様を描く映画です。意地悪なおばちゃんとか、テレビが欲しくてストライキに出る子どもとか、スケールがすごく小さいからこそ伝わってくる感情がありました。あーこういう人いるよねー、とか、私もすごくその気持ち分かる、って。先週は「東京物語」を観たけど、正直ペースがゆっくりすぎて途中で飽きてしまった。でも「お早う」と「東京物語」を両方とも観た今、ここまでスケールダウンしても面白い映画を作ったところに小津監督のすごさがあるのかな、って思う。普通だったら近所付き合いのごたごたの映画なんて(もちろんそれだけではないんだけど)絶対観たくない − 自分の生活でいっぱいいっぱいだから、映画を観る時くらい夢をみたい。でも「お早う」は徹底的にリアルな日常生活を描いているから、嫌な夢というよりは面白い噂話を聞いているみたいで、なおかつ自分に直接利害がない噂話だから、観ていてすごく面白い。あんまり数をみていないから完全な偏見だけど、日本映画ってリアルを装った夢物語、みたいなのが多い印象がある。そういう映画って妙に現実離れしていて、なのに「どう?共感できるよね!」みたいな感じを受けてしまってつまらない。でも「お早う」は違った!また観たいな。

そしていさむくん…島津雅彦演じるいさむくんが可愛すぎてどうしよう。こんなに映画の中の小さい子が可愛いと思うことはあまりないくらいに可愛かった。ほんとにもう、画面の中に手つっこんでほっぺたむにむにしたいくらい!