やねうらストーリー

アメリカ留学中の女子大生の、頭の屋根裏にあるこぼれ話

6月に読んだ7冊の良書 - キャッチ-22, ティファニーで朝食を、他

夏が始まって1ヶ月がたった!

 

3つやっているインターンはどれも順調で、日々出版業界について学んでいます。そのうちの一つ、ブックスカウトのアシスタントとして原稿を読むものに関しては、22冊の未販売の本の原稿を読んでレポートを書きました。げーってなるレベルのもあれば、なかなかホットな原稿もたまにはあって、有名な作家のに至っては未出版の本なのにWikipediaのページがあったりしました。出版は死ぬとか死なないとか、もう本を読む人はいないとかいや私は読むよとか、いろいろ意見があるけれど、実際に業界に足をふみ入れる前にお試し期間として経験をつむことが出来ているのはラッキーだなと思う。と同時に、自分が本当にこの業界で働きたいのか、そもそも本とは、文化とは何なのか、を慎重に考えている。

 

本題!自由な時間が増えたので、沢山本を読んでいます。上に書いたインターンの原稿を読むのにけっこう時間がかかる(週4日、朝一で原稿が送られてきて、24時間以内に100ページ読んで4ページのレポートを書く)ので自分の好きな本は思うように読めないのが現状だけど、それでも毎日少しづつ読んでます。日本語に翻訳されてない本もあるけど、せっかくなので紹介しようと思います。

 

 The Artful Edit by Susan Bell

ノンフィクション。長年編集者として働いてきた著者が、ライターに向けて推敲の仕方を説明する本。原稿に手を入れるをいう行為は文章を書く上では基本中の基本だけど、多くのライターが書く部分のみに注目してしまう、というところから始まって、ライターが自分で推敲・編集作業が出来るようにこの本では解説するよ!という趣旨。推敲をマクロとミクロレベルに分け、それぞれをさらにいくつかの視点に分けて、分かりやすい例えや興味深い文学エピソードを交えて書いている、秀逸な本。特にフィッツジェラルドがどうやってグレート・ギャッツビーを推敲したかを彼と編集者の手紙からひもといた部分が面白かった。推敲に主眼を置いた本だけど、推敲って文章の構成とか意味とかを理解するところから始まるので、書くことについても学べる。すっごくいい本だったので、私はちょいちょい読み直したいなーと思った。

 

オセロ&ハムレット シェイクスピア

お恥ずかしながらこの2作品をしっかりと読んだことがなかったので...さすがにこの夏は読もうと思って英語で読みました。特に私がつけたす事もないと思うけど、ちょっとだけ感想を言うとすれば、17世紀に書かれた作品に引き込まれることに改めて物語の強さを感じた。よい物語は、耐久性がある。

 

 キャッチ=22 ジョーゼフ・ヘラー

面白かった。読みながら何度も声を上げて笑った。ものすごく不条理な現実を描くのに、絶望的なトーンではなく、強烈なブラック・ユーモアという手法を選んだ現代の傑作。物語に入り込むまでに少し時間がかかったけど、軌道にのってくると止まらなくなる。ハヤカワがつい最近新刊を出したみたいなので、読もうと思っていた人はこの機会にぜひ。

 

フラニーとズーイー サリンジャー

大学生の女の子とそのお兄ちゃんのお話。現役大学生としてはぐっとくるものがあった。アイビーリーグの学生って今も昔も全く同じなんだな、とか思ったり。可愛らしい感じのお話なのに胸をえぐられてダメージをけっこうくらった。両方ともニューヨーカーで最初に出版された作品なんだけど、フラニーの方は特に、短編小説として超一流だと思う。人物描写が抜群にうまい。ズーイーはもう少し長めの作品で、フラニーで描写されたテーマをこっちで掘り下げていく感じ。「偽物」が嫌いな人、胸をえぐられたい人、村上春樹の翻訳が読みたい人、ぜひ。

 

テヘランでロリータを読む アーザル・ナフィーシー

アマゾンで検索したら、この本、日本語に翻訳されているのね!!!文句なしのおすすめ。革命後のイランで西洋文学が徐々に弾圧されゆく中、家で密かに読書会を開いた体験を英文学者が綴ったノンフィクション。著者は欧米で教育されたイラン人の大学教授。女性の抑圧に嫌気がさして大学を辞めた彼女は、優秀な7人の生徒を家に招いて毎週木曜日、読書会を開く。ジェーン・オースティンやヘンリー・ジェームズなど、本屋から消えゆく文学を密かに読んで議論する8人の女性のお話。読書会での議論や大学の授業など、18年間イランで生活した日々を著者が文学作品にからめて回想する本。

大学で文学を専攻した私は、いまいち文学を勉強する意義がつかみきれなくて、ここ2年くらいそのことについて考えていた。でもこの本を読んで少し答えの糸口が見えた気がした。日本生まれ日本育ちの私の想像を超えるような現実の中において、文学作品がどのような力を持ちうるのか、いかにフィクションは現実と結びつくのか、この本は丁寧な語り口で考えさせてくれる。最初の方にグレートギャッツビーを非倫理的だといって批難する生徒が出てくるんだけど、そんな視点考えた事もなかった。フィッツジェラルドの名作を西洋的デカダンス、金に目のくらんだ人々のお話、とする解釈はあまりにありえなくて、でもそういう解釈が実際にありえてしまう現実があると知って、文学作品を学ぶ事やその解釈について議論することの意義が少し見えた気がした。

 

 ティファニーで朝食を トルーマン・カポーティ

あーニューヨークーーーって感じ笑。映画が超有名なので名前自体は知ってる人がほとんどですよね。興味深かったのはエンディング。前に映画を見た時、最後の終わり方がなんか不自然だな、と思った覚えがあったんだけど、今回原作を読んだら映画と違うエンディングでした。ハリウッドが映画にするにあたってどういう作品に作り替えたかというのが見えて面白かったです。興味がある人はぜひ両者を比べてみてください。

この本も村上春樹の翻訳が出ているのですね。

 

以上、6月に読んだ良書たちでした。